磯が死ぬ日 2022

こちらに移住して10年目。三月から四月にかけて大潮の日には「ひじき狩り」が始まるが今年はまだ。春の嵐で海が荒れ、石付ワカメや波にちぎられたワカメがたくさん渚に打ち上げられたものだが昨年から全く打ちあがらなくなった。ひじきは一昨年あたりから生育状態が良くなく4月の末くらいに採りだす状態が続いている。今年はもっとひどい。ワカメは字のごとく「若芽」でこの時期のものは薄く柔らかく磯の香りが強烈なのだが昨年から友人、知人には贈れなくなった。 昨年も紹介したが・・・

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打ちあがるのはホンダワラのみ。以前はワカメ、アラメ、少量だがヒジキが打ちあがり磯の匂いが渚に充満していたものだ。

磯付き海藻の生育循環が一昨年から無くなった。県の水産試験場などの調査によるとイソガレが熊野灘全域に発生しているとのこと。内海である鳥羽答志島などではほとんど起きていない。原因は黒潮の大蛇行によるものが大きいとの見解。黒潮は植物性プランクトンなどが極めて少ない純水に近いといっていいほどの栄養価のない海流。これが沿岸近くまできて海藻の生育に悪影響を及ぼすことになる。これと類似のことが瀬戸内で起きている。瀬戸内は黒潮とは無縁だが生活排水が以前より浄化されすぎて海に栄養となるものが流れ出ないので春の風物詩である小女子(こうなご)の漁獲量が激減している。文明が進むのもいいような悪いような・・・。 マスごみがよく言う地球温暖化のせいだというのは無理がある大気温が一度くらい上がっただけで海水温がそれだけあがることはない。理由は水の比熱が大きいからだ。黒潮の海水温のほうがよっぽど高い。黒潮が近くを通るとなると亜熱帯化するだろうから磯もそれなりに生態系が変わっていくのかもしれない。 とは言え今年の冬は寒かったようで訳が分からない。(笑)