三分割艇では船体が分割されるので、非分割艇のように船体を形成す
るのにべニア板を接合するということはない。分割により一番気を使う
のが2箇所ある「連結部隔壁板」である。
凹凸部を設けて船体連結時のガイドとしての精度を確保する必要
があるのと連結時の強度補強も同時に行っている。べニア板厚さが4
ミリと薄いので接合ボルトを通す箇所は 4x6枚=24ミリ を確保し
ている。
中央部前端の隔壁板(凹凸部含む)
隔壁板本体に凹部を構成するのは合計8枚のべニア材の集合体。
凸部は船体前部後端に接着される。
中央部前端の隔壁板(凸部と連結した状態)
実際は強度確保の為に凹凸部は2枚重ねで構成される。
モザイク(模細工?)のような8枚構成のべニアの加工は匠の技が必要。
ノコギリでべニア板を直線に切るというのはなかなか難しい。というよりかみ合わせがなかなかうまくいかない。どこかしら直線でないから
である。切る時罫書線からのずれがあるので一発で嵌めこむことは不
可。ひたすらやすりがけして修正を施す作業が・・・。
また、凹凸部の「嵌め合い」をゼロ・ゼロにすると連結できない。
それに加えべニア板への塗装厚も考慮し、ある程度の隙間も要る。
右上の輪ゴムでまとめてあるのがモザイク部材
もう一つの連結部・中央部後端の隔壁板と凹凸部部材
凸部もそうでノコギリで切る時、罫書線の中心からずれがあると凹部と
のかみ合わせがうまくいかない。このあたりはもお互いの部材と突き合わせる作業が要る。 この作業が三分割艇の一番の難所である。
余談:以前に板金加工をお願いすべく秋葉のラジオデパートの地下に
ある金属ケースを扱ってる店に行った際の話。
図面を持参してこういうものを作ってほしいのだがと相談した
ら、店主曰く「自分でやりなさい。ひたすらヤスリがけするしか
ありませんよ。その昔は町工場でなんでもやってくれましたが
今では板金加工する工場自体が少なくなりまた弟子入りの若い人
に練習でやらせていたのが今は皆無になりましたからねぇ。」
とのこと。古き良き時代があったのです。
to be continued.